【宮前区役所移転計画】発表された新計画案についてまとめました
宮前区内で賛否両論に分かれている『宮前区役所移転計画』について、市民の声を取り入れた形の新計画案が提示されました。
こちら
http://www.city.kawasaki.jp/250/cmsfiles/contents/0000097/97126/tokubetugou.pdf
うーん。たくさん書いてあってわかりずらい…。
計画の理解が進まないのは、こういうところに原因があるのではないでしょうか…。
そこで、今回は私がこの資料を読んでみて、これまでの課題に対してのアンサーになっている部分を中心にまとめてみました。具体的ではない部分はカットしています!
でも、大切な論点はほとんど盛り込まれていますので、読んでいただければ大まかにこの計画案についておわかりいただけるかと思います。
この計画の懸念は、市民が計画自体を理解していない上で話が進んでしまうことだと思います。
理解を深めて頂き、みなさまの賛成・反対の判断の一助になれたらと思います。
以前書いた『宮前区役所移転計画』 についての記事もご参照ください。
今回の基本方針の概要
【移転場所】
区役所→鷺沼駅北側街区に建設予定の都市型住宅の低層部
図書館・市民館→駅前街区に整備予定の交通広場や商業施設の上層階
【移転費用】
約132億円
【タイムスケジュール】
2026年までに市民館と図書館のオープン
2030年まで区役所の供用開始
【今回示された課題への解決案】
鷺沼駅前の交通アクセスの改善
・バスロータリーの乗降場所の増加(現在は4ヶ所で飽和状態)
・小田急沿線方面への路線新設
・向丘地区方面へのアクセス強化
【今後の予定】
2月5日から3月6日まで市民の意見を募集。
3月末に正式に基本方針を決定する。
移転の方向性が確定的になった
これまでは、移転するかしないかも含めて協議していく、という段階でしたが、今回の計画案で、移転の方向性が明確になりました。
今後は、実際に移転するうえでの課題を解決していく段階になります。
結局どうなるの?
今回の新計画案を踏まえると、具体的にどうなるのか。
皆さんが知りたいのはその点だと思います。
そこで、今の鷺沼駅前の状態を踏まえて、区役所を移転した場合の将来像を重ねたイメージ図を作ってみました。
どうでしょう、皆様のイメージが具体的になりましたらうれしいです。
ちなみに、『図書館・市民館』の下は商業施設、上は住宅になります。
また、『市民館・ホール等』の最下層はバス乗り場を含む交通広場、その上に商業施設、その上『市民館・ホール等』がくる形になります。
『区役所』の上も住宅になります。
これまでの問題点のおさらい
これまで、区民の声から出てきた問題点としては、
・築35年経過し、市内の区役所で最も古いとはいえ緊急性はなく、時期尚早ではないか。費用対効果はどうなのか。
・そもそも鷺沼駅前には行政サービスセンターがあり、鷺沼近隣住民は必要としていない。
・宮前平周辺は地理的に区内の中心であり、移転によってアクセスが悪くなる人が多い。向丘地区からのアクセスは特に悪化する。
・鷺沼駅前の現在の交通状況は、渋滞が多いせいで住民の不満が多い。区民サービスの移転でより渋滞が悪化するのではないか。
・区民の認知度が低く、十分な議論の時間が必要である。
というようなものでした。
対して、今回の計画案はある程度その声に応えるかたちで策定されているようです。
では、ここからは、その問題点へのアンサーという形で今回の計画案をまとめていきます。
今回提示された改善策
区役所移転で本当にアクセスは良くなる?
まず、アクセスの問題点については①小田急方面への路線新設②向丘地区へのアクセス強化が示されました。
まずは、下記の画像をご覧ください。
現在の宮前区内のバス路線図になります。
一見してわかる通り、かなりの路線が宮前区役所を経由するようにデザインされています。
一方で、移転予定地の鷺沼駅前については、発着する便数が少ないことがわかります。
野川方面からは鷺沼駅前まで行く便がありますが、向丘方面からは鷺沼に行くバスはほとんどなく、他の駅前まで出てから電車で行く形になります。
野川方面も、向丘方面も田園都市線の駅からは比較的遠い地区であるにも関わらず、向丘地区からのみ陳情書が出ていたのはこういう理由もあるのでしょう。
今回の改革案では、この向丘地区へのアクセス強化が盛り込まれています。アクセス強化として、バスネットワークの増強が示されました。
不得意な画像編集ソフトで一生懸命作りました(笑)
この案通りに向丘地区方面にバスが拡充されれば、今よりも利便性が高まるため、向丘地区の方にも移転のメリットがあるのではないでしょうか。
鷺沼に移転したら、ただでさえヒドイ駅前の混雑具合が大変なことになるのでは?
さて、アクセス強化のためにバスを増便するのであれば、鷺沼駅前のバスロータリーがパンクします。
そのため、こちらについても対策を打つことが提示されました。
まず、
①フレル鷺沼との間の道を廃止したうえで
②フレル鷺沼の場所まで交通広場を拡大(現在の2倍まで)
③バスの乗車スペースを増設するとともに、降車スペースを新設する
以上により、路線の増新設に伴うバスの受け入れ体制を作ります。
さらに、①の効果により、
④駅前の交差点が三箇所→一箇所になり、区役所移転・バス増便による更なる渋滞悪化が避けられる
という対策も示されています。
移転の費用はどうなるの?税金の無駄遣いじゃないの?
各プラン、比較検討する期間で費用が変わるからどれが優れているか判断できない、というのが回答です。
下の図を見てください。
たしかに、どの時点で区切るかによって、どのプランの費用が最も高いかが変わってきます。このため、市は費用についての具体的な優劣の比較が不可能と判断しているのでしょう。
私が一点だけ気になるのは、今回の移転プランである②の費用試算に『次の建て替え』が想定されていないことです。一般的な庁舎の耐用年数がわからないので、なんとも言えませんが、今後60年間、建て替えはしないのでょうか?
現行の建物が35年で老朽化、というのであれば、35年から40年後に建て替えのコストが算定されるべきではないでしょうか?
また、移設に伴うインフラ整備のコストも算定されていません。移転すれば前述のバス増便や増設にかかる費用が別にかかるはずです。
一方で、建物建て替えなどの財政出動は経済効果があります。経済学では、投資額の数倍の経済効果があるとも言われます。
今回の移転計画を『投資の意思決定』と捉えるのであれば、費用だけではなく、それによって得られる利益(経済効果)も想定されなくてはなりません。
例えば、上のように35年で建て替えを足してプランを立てれば、移転計画が一番費用がかかるプランになります。
しかし、移転計画に伴って、建物の建設費や、バスの増設で新たな投資が生まれます。行政が財政出動すれば地元経済は潤います。また、市民サービス向上によるメリットもあるでしょう。
ゆえに、最も費用がかかるプランが財政的に劣っているという判断もできないでしょう。
結論は、費用面での判断はプロ中のプロじゃないと判断できない、となってしまいますね…。
しかしながら、かかる費用が『適正なのか』にはニラミを効かせる必要はありますよね。
どこかのオリンピックのように、いつのまにか予算が試算の何倍にもなってた!とならないように…。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか?
なんとなくでも、今回の計画案についての理解についてお役に立てていましたら幸いです。
今後もこの話題については追いかけていきます。
また良ければお立ち寄りください。
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